前回のブログで、プロ野球選手の不振の原因を、ウエイトトレーニングをやったことになすりつけるようなネット記事にツッコみました。
「ふざけんな、このヤロー!」という気持ちで、あっという間に書き上げました。
ただ、冷静に考えてみると、トレーニングを一生懸命やったのに、パフォーマンス向上に繋がらなかったり、逆にパフォーマンスが低下してしまうことはありえます。
そこで、今回は、トレーニングが結果に繋がらない時に、その原因となりうるポイントについて、いくつか紹介します。
トレーニングが結果に繋がらない時にチェックすべきポイント
トレーニングをやっているにもかかわらず、結果に繋がらない場合、その原因は必ずしも1つではありません。
さまざまな原因が候補になりえます。
たとえば、以下のような原因が考えられます:
- ①適切でないトレーニングをやっている
- ② やっているトレーニングは適切だけど、練習の邪魔をしている
- ③トレーニング効果の転移がうまくいっていない
- ④トレーニング以外に原因がある
①適切でないトレーニングをやっている
どれだけ一生懸命トレーニングに取り組んでも、やっている内容が適切でなければ結果には結びつきません。
残念ながら、私が見ていると「そんなトレーニングやっても・・・」と思うようなことをやっているアスリートは多い印象です。
ピッチャーが上半身だけウエイトやるとか・・・。
前回のブログで、プロ野球選手の不振の原因があたかもウエイトトレーニングにあるかのように書いている記事を批判しましたが、「ウエイトトレーニング」そのものが悪くなくても「ウエイトトレーニングのやり方」が悪くて結果に繋がらないことはありえます。
実際に、その記事を読む限りでは、そこで取り上げられているプロ野球選手のウエイトトレーニングのやり方が適切でない可能性は高いです。
やり方の問題で結果が出なかっただけなのに、ウエイトトレーニングそのものが悪者にされて、もうウエイトトレーニングはやめて走り込みをやったほうがいい!みたいな感じで書かれていたのでイラッとしたのです。
やり方を適切なものに変えればいいだけなのに。
一生懸命練習をしているのにパフォーマンスが低下してしまったとしても、「練習が悪いから練習なんかやめてしまえ!」なんて言う人はいないはずです。
それなのに、トレーニングをしているのにパフォーマンスが低下してしまったら、「トレーニングが悪いからトレーニングなんかやめてしまえ!」って言う人はいます。
なんかロジックがおかしいですよね。
「努力すれば報われる」という考えで、ただガムシャラにトレーニングをやることが得意なアスリートは多いです。
そこから一歩進んで、「適切な努力とは何ぞや?」というところを突き詰めて考えたうえで、適切な努力をすることができるアスリートを目指しましょう。
「適切な努力をするための努力」ができるアスリートとでも言いましょうか。
適切なトレーニングとそうでないトレーニングの違いをアスリートが見極めるのは難しいかもしれないので、そういう場合はトレーニング指導の専門家に相談されることをオススメします。
ただし、残念ながら、専門家を謳っている人の中にも、適切なトレーニングのやり方を理解していないニセモノがいます。
したがって、適切なトレーニングをしっかりと教えてくれる適切な専門家を探す努力も必要になってきます。
なんだか「一生懸命がんばってトレーニングをする」という努力にたどり着く前の段階で、他にもたくさん努力をしないといけないなんて面倒くさいな〜と思われるかもしれませんが、トレーニングを結果に繋げるためには、面倒くさいことをやることも時には必要です。
それが真の「努力」ってやつです。
ただただ、キツいトレーニングに耐えるだけでは努力ではありません。
それはただの「忍耐」です。
※この記事の最初に書いてある「忍耐」と「努力」の違いについて読んでみてください↓
参考 自己研鑽のための”プログラム・デザイニング”GS Performanceブログ
最近は「GRIT(やり抜く力)」と呼ばれる能力が重要だと言われています。
たしかに、耐える能力もアスリートとしては必要ですが、頭を使わずにただ耐えているだけでは、それを勝ちに結びつけることは難しいでしょう。
勝ちに繋げるための努力をするための下準備をしっかりして、是非とも「適切な努力(トレーニング)」をやっていただければ。
第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの名言を紹介しておきます:
もし、木を切り倒すのに6時間与えられたら、私は最初の4時間を斧を研ぐのに費やすだろう。
② やっているトレーニングは適切だけど、練習の邪魔をしている
やっているトレーニングの内容(エクササイズ選択、やり方、強度・量・頻度etc)だけを見れば適切なものだったとしても、それが練習の邪魔をしてしまっていて結果に繋がらないことはありえます。
たとえば、筋力や柔軟性を向上させるのに適切なウエイトトレーニングをやっていたとしても、それが過度の筋肉痛を引き起こしてしまったり疲労が溜まりすぎたりすると、練習に悪影響を与えてしまいます。
また、トレーニングにハマりすぎてしまい、そちらに時間とエネルギーを費やしすぎて、練習に割く時間とエネルギーが減ってしまうと、体力は上がったのに結果に繋がらないなんてことが起こりえます。
あくまでも競技練習が最優先であり、トレーニングは補強にすぎません。
もし、適切なトレーニングをやっているはずなのに結果に繋がらないと悩んでいるのであれば、優先順位が「競技練習>トレーニング」という点が守られているか、もう一度チェックしてみてください。
» 参考:「トレーニングは補強にすぎない」という言葉を掘り下げてみる
» 参考:【アスリート向け】多くの競技がオフシーズンを迎えるこの時期に、あらためてトレーニングの意義と限界について考えてみる
③トレーニング効果の転移がうまくいっていない
適切なトレーニングを実施して体力が向上したからといって、自動的にパフォーマンスUPに繋がるわけではありません。
「向上した体力を使いこなす能力を身に付ける」というもう1つのプロセスが必要になります。
このプロセスを私は「トレーニング効果の転移」と呼んでいます。
» 参考:【論文レビュー】トレーニングによる筋力UPは、やり方によっては競技力UPにも競技力DOWNにもつながりますよって事をコンピューターシミュレーション研究の結果をもとに考えてみる
「体力が向上した」ということは「体力が変わった」ということです。
ということは、それに合わせて技術も変えないといけないわけです。
体力が変わったのに、技術がそれに合わせて変わらなければ、パフォーマンスは逆に低下してしまうリスクが高いでしょう。
もし、トレーニングを一生懸命がんばっているのに結果に繋がらないのであれば、その原因が、この「トレーニング効果の転移」がうまくいっていないことにある可能性があります。
そのような場合に、トレーニングをやめてしまうのは正しい解決策ではありません。
正しい解決策は、「トレーニング効果の転移」を促すように工夫をしながら練習を重ねることです。
どちらにしろ発育や加齢に伴い体力は変化していくものなので、アスリートは常に体力の変化に合わせて技術の調節をしないといけないはずです。
トレーニングにより体力が向上する場合は、その変化の幅が大きいため、技術の調節がそのぶん難しくなるだけです。
そして、難しいぶんだけ、トレーニング効果の転移に時間がかかることも考えられます。
» 参考:トレーニング効果が競技成績向上に結びつく実感を得るのにかかる時間
上記①と②をチェックして、そちらに問題ないのに、トレーニングが結果に繋がっていないのであれば、トレーニング効果が実際のパフォーマンスに転移するように、工夫をしながら練習をしてみてください。
④トレーニング以外に原因がある
上記3つのポイントをチェックしたうえで、それらには問題ないと考えられるのであれば、結果が出ない原因はトレーニング以外にある可能性があります。
私はトレーニングを指導する専門家ですが、トレーニングだけやって体力を向上させれば勝てるようになるなんて思っていません。
スポーツの成績には、それ以外にもたくさんの要因が影響を及ぼすからです。
すぐに思いつくだけでも、技術・メンタル・相手との相性・環境・用具の質・栄養・休養etcの要因が挙げられます。
アスリートとしての不振の原因がトレーニングのやり方にある場合もあるかもしれませんが、上記①②③をチェックしたうえで、大きな問題がないと考えられるのであれば、トレーニング以外で原因を探る作業が必要になります。
そして、不振の原因がトレーニングにはなく、逆にトレーニング自体はプラスの影響を及ぼしているのであれば、試合の勝敗に一喜一憂せず、自信を持って適切なトレーニングを続けるべきです。
そのほうが長期的に見ると良い結果に繋がる可能性が高いでしょう。
不振の原因がトレーニング以外にあるのに、目の前の試合の勝敗によってトレーニングをやめてしまったり、しょっちゅうトレーニングの内容を変えているようでは、せっかくのトレーニングの恩恵を得ることもできなくなってしまいます。もったいないです。
まとめ
前回のブログでは文句を言っただけで終わった感があるので、じゃあどうすりゃいいんだ?ということを今回のブログで書いてみました。
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【編集後記】
昨日、アップルストアでiPhone X、8、8 Plusを手にとって使い心地を試してみました。
現在、私はiPhone 6Sを使っているため、iPhone 8と8 Plusのホームボタンを押す感覚に違和感を覚えました。
使っていればそのうち慣れるんでしょうけど。
また、Xと8 Plusと比較すると、8の画面サイズが少し物足りなく感じました。
でも8 Plusだと少し重いのが気になります。
となると、Xがいいのかな〜。
また何回か通ってみて、最終決定をしたいと思います。