アスリートは柔らかいだけだとパフォーマンス上がらずケガもしやすくなる
今日、以下のようなツイートをしました:
めちゃくちゃ柔軟性のあるフィギュアスケーター、しかもトップ選手だった村主さんの発言だけに、インパクトがありますね。 https://t.co/ryJh8THJBr
— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki)
柔軟性がめちゃくちゃ求められるフィギュアスケートという競技でトップ選手だった村主章枝さんが、柔軟性“だけ”を向上させてもパフォーマンスは上がらないと断言されている。
そして、広がった可動域をコントロールするためには「筋力」が必要だとおっしゃっている。
もともと私も同じような考え方を持っていたので、まさに「そのとおり!」と共感せずにはいられませんでした。
» 参考:【アスリート向け】ストレッチをして柔軟性を高めると逆にケガをしやすくなるかも
そんなツイートをしてから数時間後、GS Performance加賀さんのツイートを見て、これまた「そのとおり!」と思いました:
「ヨガ、ピラティス、ジャイロなど」の「など」の代表格は、「適切な方法で実施されるウェイトトレーニング」であることを強く発していきたい。 https://t.co/Ei0scSXXGC
— GS Performance Yohei Kaga (@gs_performance)
私も、ストレッチやらモビリティドリルやらその他の方法で可動域を広げたうえで、(適切なフォームが崩れない範囲内で)できるだけ大きな可動域を使ってウエイトトレーニングを実施して筋力を向上するのが、アスリートにとってベストな方法だと考えています。
このコンセプトの説明としては、Charlie Weingroff氏の「Get Long, Get Strong」という表現が個人的にはしっくりきています。
» 参考:『Get Long, Get Strong』:持久系アスリートに対してレジスタンストレーニングを処方したり指導したりする時のフィロソフィー⑦
で、加賀さんのツイートを見た後に、自分のツイートやリツイート元の村主さんのツイートも読み直してみたら、広がった可動域における筋力獲得の手法として「ヨガ、ピラティス、ジャイロなど」を私が推奨しているかのような誤解を与えかねないな〜と感じたので、ブログでもう少し詳しく説明することにしました。
柔らかくしたうえでウエイトトレーニングで鍛えるべし!
まず、私はヨガ・ピラティス・ジャイロなどを実践したり学んだりしたことはないので、詳しいことは知りません。
とくにジャイロなんて初めて知ったくらいです。
だから、それらのアクティビティの良し悪しを正確に判断することはできません。
また、S&Cコーチとしてウエイトトレーニングをメインにアスリートや一般の方にトレーニング指導をしているので、バイアスもあるはずです。
それらを前提としたうえで、やはり、ストレッチ等により新たに獲得した可動域における筋力を高めて、ケガをしづらい身体づくりやパフォーマンス向上に繋げる手法としては、ウエイトトレーニングがベストだと思います。
とくに競技力向上のためにトレーニングをしているアスリートの場合は、ウエイトトレーニングがベストです。間違いありません。
一般の方であれば、ウエイトトレーニングでもヨガでもピラティスでもジャイロでも、好きで継続できるものを選択していただくのが良いかと思います。
なぜウエイトトレーニングがベストなのかというと、個人の筋力レベルに応じて適切な過負荷をかけることができるし、筋力が向上するにつれて過負荷のレベルを強くしていくことも可能だからです。
この「漸進性過負荷の原則」というのは、筋力をはじめとする体力を向上するためには非常に重要です。
ヨガやピラティスやジャイロ等では、たしかにただのストレッチとは異なり、さまざまなポジション・姿勢をキープすることが求められるので、ある程度の筋力向上やコントロール能力獲得に結びつくのは間違いないでしょう。
しかし、筋力向上効果という点では、ウエイトトレーニングには及ばないと思います。
ウエイトトレーニングと同じレベルで「漸進性過負荷の原則」を適用することが難しいからです。
(これはあくまでも私の浅い知識に基づいた推測にすぎないので、間違っているようであれば、ご指摘いただければと思います)
まとめ
村主章枝さんがおっしゃるように、ただ柔軟性を向上するだけではダメで、新たに獲得した可動域における筋力もセットで向上することがとても大切です。
そして、後者の目的のためには、ウエイトトレーニングを(適切なフォームが崩れない範囲内で)できるだけ大きな可動域で実施するのがベストな手段である、とS&Cコーチとして主張します。
ちなみに、何度も言いますが、ヨガとかピラティスとかジャイロとかをディスっているわけではないですし、アスリートはやるなと言っているわけではありません。
ただ、アスリートがそれらを取り入れるとしても、その位置づけが「筋力向上」ではないだろうと思うのです。
そこはウエイトトレーニングを(適切なフォームが崩れない範囲内で)できるだけ大きな可動域で実施するほうが効率的かつ効果的です。
とはいえ、大きな可動域でウエイトトレーニングを実施するためには、まずは大きな可動域で動けるだけの柔軟性を獲得することが必要です。
ヨガ・ピラティス・ジャイロ等がアスリートの役に立つとしたら、そこの部分(柔軟性向上)なんじゃないかと、個人的には考えます。
» 参考:【アスリート向け】新型コロナ感染拡大の状況が落ち着いたら専門家からトレーニング指導を受け始めようと考えているアスリートが自粛期間中にやっておくべきこと
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【編集後記】
昨日「S&C筋肉痛セミナー」をオンライン形式で実施しました。
久しぶりの新作テーマだったのですが、ここ1~2ヶ月は筋肉痛のことばかり考えていました。
かなり準備が大変でしたが、過負荷をかけたおかげで、だいぶ知識や考えが整理され深まりました。
今のところ、ポジティブなフィードバックもいただいているので、企画してよかったです。